ばね加工のご相談をいただく中で、すべての案件をそのままの仕様でお受けできるわけではありません。当社では、安定した品質と継続供給が可能かどうかを重視しています。
そのため条件によっては、見積辞退ではなく、仕様の見直しを提案するケースがあります。
今回は、ばね加工で実際に起こりやすい失注ケースと、理由・代替案について解説します。
ケース1:線径に対して径が小さすぎる・大きすぎる
図面上では成立していても、以下の理由からお断りする場合があります。
・成形時の折れや過大応力の発生
・巻きばらつきによる荷重不安定
・量産時の再現性低下
理由
ばね設計には、線径に対するコイル径比(D/d)の目安があります。(一般的に4〜22程度) 範囲外になると試作では成立しても量産で安定しない可能性が高まります。
D/dについて詳しくはこちらのコラムをご確認ください。
代替案
当社では以下の内容を提案しています。
・コイル径の再検討
・線径変更を前提とした設計の再計算
・使用環境に応じた材質変更の検討
ケース2:荷重公差の数値が厳しい
非常に厳しい荷重公差が指定されている場合、量産を前提とした成立性の検討が必要になります。
理由
ばね加工では、加工条件や材料特性によるばらつきが発生します。必要以上に厳しい荷重公差を設定すると、選別コストの増加や歩留まり悪化につながる可能性があります。
代替案
当社では、以下のような調整をご提案しています。
・機能上重要な荷重域に絞った公差管理
・使用条件を踏まえた現実的な公差幅の再設計
・初期ロットでの実測データ取得と数値検証
ケース3:使用条件が不明確
以下の情報が不足している場合、最適な設計が難しくなります。
・使用荷重域
・繰り返し回数
・使用環境(温度・腐食)
・取付方法
理由
ばねは「形状」ではなく「使用条件」で設計が決まります。条件が不明確なままでは、過剰設計または強度不足のリスクがあります。
代替案
仕様確定前の段階で、以下のようなすり合わせを行っています。
・使用条件のヒアリング
・耐久試験を前提とした仕様提案
・用途に応じた材質変更の検討
ケース4:図面確定後の相談
設計・装置スペースが確定した後の相談では、提案の余地が限られます。
理由
線径や外径を数ミリ変更するだけで、加工安定性やコストが改善するケースもあります。設計が固定されていると調整が困難になります。
代替案
設計段階からの連携を前提に、次のような対応を行っています。
・仕様検討段階での事前相談
・荷重とスペースの優先順位整理
ばね加工の製作事例
実際に弊社で対応したばね加工品の一例をご紹介します。
1、分包機に使用する押しばね
2、位置保持用トーションばね
3、耐久性を重視した線加工品試作
ばね加工では、「図面通りに製作できるか」だけでなく、「安定して量産できるか」「継続供給が可能か」という視点が重要です。ベンダー曲げ加工部品と同様に、成立性と供給性まで見据えた検討が、結果的にコスト最適化につながります。
ばね仕様をご検討の際は、図面が確定していなくても問題ありません。
栄光技研株式会社では設計初期段階からの技術相談にも対応しております。ばね仕様に迷われた際は、ぜひお気軽にご相談ください。
