コイル材のφ5.0は、ベンダー加工でもよく使われる線径帯ですが、実は材質や形状によって難易度が変わるサイズ です。 φ5.0を設計するときに注意したい点と加工精度を安定させるための考え方をわかりやすくまとめています。
φ5.0を加工する際の注意点
φ5.0を設計するときに注意したい点は以下の内容です。
1、コイル材は「まっすぐ」ではない
キャリア材は巻かれた状態で供給されるため、残留応力やクセが残ります。
クセがあることで、
•曲げた後に角度がずれる
•直線部が波打つ
•左右で反発の差が出る
といった現象が起こりやすくなります。
2、スプリングバックが大きい
角度通りに曲げるためには、事前に過曲げを計算しておく必要があります。
3、R設定がシビア
一般的にはR5〜が目安ですが、材質や用途によってはもう少し大きいRが必要になることもあります。特に硬い材質では小Rは割れや歪みにつながりやすいため注意が必要です。
実際に当社が製作した φ5.0のベンダー曲げ加工品はこちらになります。
材料を安定して曲げるためのポイント
材料を安定して曲げるためのポイントは3点あります。
1、ストレートナーの調整がほぼ全て
ベンダー曲げ加工の特徴として、クセが残っているとそのまま形状に影響します。
・上下のローラー圧
・左右の張力
・送り速度
これらのバランスが取れてはじめて、曲げ精度も安定していきます。
2、材質の特徴を押さえる
材質ごとに曲げやすさも大きく変わります。
| 材質 | 加工のしやすさ |
| SUS304 | 難しい |
| SWP-B(ピアノ線) | 中程度 |
| SWC | 中 |
| SWRM(硬鋼線) | 容易 |
| SS400(鉄線) | とても容易 |
また、材質が確定することで、「どれくらい過曲げが必要か」「R設定はどこまで攻められるか」といった予測精度が大きく向上します。
3、曲げ順序は設計と同じくらい重要
コイル材は、後から曲げると前の角度が戻されることがあります。そのため形状によっては、どの順番で曲げるかが仕上がりのカギになります。
⁻起こりやすい設計ミスと対策
•Rが小さすぎる
•角度公差が厳しすぎる(±1°など)
•直線部の長さ精度をシビアにしすぎる
φ5.0はベンダーの加工範囲内ですが、クセがあるコイル材だからこそ、材質・角度・曲げ順が深く関わってきます。栄光技研株式会社では、図面が固まっていない段階でも、「この形状いけそう?」 「Rはどれくらい必要?」といった早めのご相談をいただくことで、より安定した加工方法をご提案できます。

