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もっと知りたい 技術コラム

実際の使用環境から考える!押しバネ設計のコツを設計事例とともに解説します。

押しばねを設計する上でのポイントを事例とともに解説します。

ばねの使用用途は様々です。使用される環境によっては、ばねが使用されている状態で力の変動がほとんどない状態のものと、ばねに力が繰り返し作用する状態のものがあります。
今回は枕で使用する押しばねを例に設計するポイントを解説します。

押しばねの特徴

押しバネ(圧縮コイルバネ)は、縮められたときに反発力を発生するばねです。構造はシンプルながら、使用条件に合わない設計では性能を十分に発揮できません。主に、ボールペンや電気機器、産業用装置などに使用されますが、機能性・耐久性が求められる用途では、材質選定や荷重設定の最適化が欠かせません。

押しバネ設計でよくあるつまずき

押しバネの設計で失敗しやすいのは、以下のようなケースです。
•使用環境に対して錆や耐久性が不足する材質を選んでしまう
•計算上はOKでも、荷重が強すぎてバネが役割を果たさない
•寸法変更の影響で、取り付け不良や想定外の応力集中が発生

設計事例(睡眠用枕センサー) 使用環境と荷重のすり合わせ

あるお客様から、枕に内蔵するセンサー用の押しバネ依頼がありました。
図面の指定はなく、「枕の中でセンサー反応を最適にしたい」というご相談でした。

■使用環境:人体が接触する製品 のため、錆に強いステンレス材(SUS304-WPB)を提案
■荷重の調整:サンプルばねを社内計測し、実際の数値データ化
■試作対応:荷重バリエーションを変えた3種の試作品を製作・検証

結果的に最適な押しばねを納品することができました。使用環境やお客様の要望を丁寧に把握し、試作品による検証を重ねることで、高品質な押しばねを提供しています。
他の押しバネの製作実績もぜひご覧ください。

押しバネの設計で失敗しない3ステップ

押しバネの精度と再現性を高めるには、以下のステップが重要です。

  • 目的を明確に: (例)製品の一部として何を実現するか?といった視点が大事です。
  • 使用環境の情報共有と材質選定: 屋外か屋内か、湿気・薬品の有無なども重要です。
  • 試作で確認: 設計値だけでなく、実測からの調整がポイントです。

3つのステップをしっかりと行うことで、より最適な押しばねを設計することができます。

材料・荷重・試作時の注意点まとめ

押しバネのおける荷重や試作時の注意点を下記表にまとめたので、ご参考にしてください。

設計要素

注意ポイント

材料選定

錆・摩耗・反発力のバランスが重要

荷重設定

設計値が実装環境にきちんと合っているかを確認

端部形状

応力集中を避ける曲げ処理や寸法調整

精度

設計通りの巻数・自由長が確保されているか

試作品を作って、実際に試してみることで設計の精度を高めます。
バネ試作時の注意点まとめもあわせてご覧ください。

(参考文献:ばね 入門 日本ばね学会 日刊工業新聞社
       はじめてのコイルばね設計 山田学 日刊工業新聞社
       ばね 基礎のきそ 蒲久男 日刊工業新聞社

栄光技研株式会社ではお客様のご要望を細かくヒアリングをしていきます。図面が無い場合でも、応えられる範囲で大丈夫です。最適な使用環境を考え、設計することで最適な加工方法をご提案します。お気軽にお問い合わせください。
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