工具の試作では、強度や耐久性の検証、形状確認が欠かせません。よく選ばれるのが、線材加工品です。線材加工は加工しやすく、複雑な形状にも対応しやすいので、試作段階でよく活用されています。
今回は、工具試作でよく使われる線材加工の材質や形状の特徴を紹介します。
実際に工具部品に使用しているフォーミング加工品(線曲げ加工部品)を製造している様子です。
工具の試作で求められるばねの特徴
工具試作では、以下のようなばねの特徴が求められるケースが多いです。
•耐久性が高い:繰り返し荷重をかけても変形しにくい。
•形状保持力:狭いスペースでも形状が安定している。
•加工しやすく、コストが抑えられる:試作のため予算に限りがある。
こうしたニーズに応えられる材質・形状を選ぶことで、効率的に試作検証が進みます。
当社の対応事例
実際に当社で対応した工具業界向けの製作実績をご紹介します。
1.φ1.4㎜・ピアノ線を使用した線加工品
2.荷重を重視したピッチ間隔が異なる押しバネ
3.ステンレス材を使用したトーションばね
よく使われる材質と特徴
工具試作ではよく使用される材質と特徴は以下になります。
材質 |
特徴 |
向いている用途 |
硬鋼線 |
加工性が高く、コストパフォーマンスに優れる |
標準的な荷重・強度確認用 |
ピアノ線 |
耐久性・強度があり、安定した性能が期待できる |
高荷重や長期使用を見据えた試作 |
ステンレス |
錆に強く、耐食性・耐熱性が高い |
屋外や湿気の多い環境での試作 |
試作目的に応じて「加工のしやすさ重視」か「使用環境対応重視」などを考えて選びます。
よく選ばれる形状の特徴
形状も、試作目的に応じて使い分けられます。
・押しばね(圧縮コイルばね)
荷重確認や復元力向いており、標準的で扱いやすいです。
・トーションばね(ねじりばね)
回転運動やトルクに最適です。
・線加工品(曲げ加工品)
部品ガイド、位置決め、支持用など自由度の高い形状が可能です。
特に線材加工なら、限られたスペースや特殊な動きにも柔軟に対応できますので、「こんな動きが欲しい」というリクエストに応えやすいです。
工具の試作で材質・形状を選ぶポイント
工具試作では、最終的に量産につながることも少なくありません。試作時には次のような視点で材質・形状を選ぶと失敗しにくいです。
●最終使用環境に近い材質を選ぶ(耐食性が必要か、強度重視か)
●荷重方向やスペースを考慮して形状を決める
●予算や納期も考えて、加工性の高い材質・形状を選ぶ
工具試作においては、材質や形状の選択が後の量産にも影響する重要なポイントです。栄光技研株式会社では豊富な実績をもとにお客様のニーズに応じて最適な材質・形状をご提案いたしますので、お気軽にお問い合わせください。
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