切削加工にて使用する材料選定は製品の品質やコストを決める上でとても重要です。材料には加工が難しい「難削材」と、加工がしやすい「快削材」の2種類があります。今回は難削材と快削材について詳しく解説します。
実際にCNC旋盤にて設備関連部品を製造している動画です。
難削材について
難削材とは切削加工が難しい材料の総称です。一般的に硬度が高く、切削工具がすぐに摩耗したり、加工中に割れたり、ひび割れが発生するなどといった問題を引き起こしやすいのが特徴です。
代表的な材料について
代表的な材料はステンレス鋼、チタン合金、耐熱合金などが挙げられます。
・ステンレス鋼
耐食性や耐熱性に優れていますが、硬度が高いという特徴があります。特にマルテンサイト系ステンレス鋼は非常に難削です。
・チタン合金
軽量で強度が高く、航空宇宙産業などで広く利用されています。しかし切削工具と化学反応を起こし、工具寿命が短くなることがあり、加工が困難です。
・耐熱合金
高温環境下でも強度を維持できる材料で、航空機エンジンやガスタービンなどに使用されます。ニッケル基合金やコバルト基合金などが代表的です。
難削材が削りにくい理由は材料の成分や組織が複雑であり、加工硬化といわれる切削によって材料が硬くなり、さらに加工が難しくなる現象が発生するからです。
快削材について
快削材は切削加工が容易なように改良された材料です。難削材に対して加工時間が短縮でき、工具の寿命が長く持ち、加工面が綺麗です。
快削材の特性について
快削材の特性は3つあります。
1.切削抵抗が小さい
切削力が小さいため、工具の摩耗が少なく、加工時間が短縮できます。
2.切りくずが切れやすい
連続した長い切りくずができにくいため、加工中に切りくずが排出されやすく、加工面が良好になります。
3.工具寿命が長い
切削工具の摩耗が少なく、工具交換の頻度が低減できます。
代表的な快削材について
代表的な快削材は快削鋼、アルミニウム合金、銅合金などが挙げられます。
・快削鋼
炭素鋼に硫黄や鉛などの元素を添加することで、切削性を向上させた鋼材です。
・アルミニウム合金
軽量で加工性も良く、幅広い分野で使用されています。
・銅合金
電気伝導性や熱伝導性に優れており、電気部品や熱交換器などに使用されます。
難削材と快削材は切削性の違いによって、加工方法や使用する工具が大きく異なるため、コストや品質に影響します。材料の特性を考慮し、適切な加工方法を選択することで加工不良を減らし、製品の品質向上に繋がります。
栄光技研株式会社では、CNC旋盤「QUICK TURN 100MSY」にて旋盤加工品を製造します。材料選定や加工条件などでお困りの方はぜひお気軽にお問い合わせフォームでご相談ください。