オイルテンパー線は、鋼線を油で焼き入れ・焼き戻し(テンパー処理)した材料です。熱処理により高い強度と優れた耐疲労性を備え、自動車や産業機械で幅広く利用されています。今回はオイルテンパー線の特徴とばね加工でのメリットについて解説します。
オイルテンパー線とは
オイルテンパー線とは、鋼線を油で焼き入れ・焼き戻し(テンパー処理)した材料のことです。
熱処理を施すことで、以下のような特徴を持ちます。
◦高い強度:折れにくく、強い荷重にも耐える
◦優れた耐疲労性:繰り返し荷重に強く、ばね寿命を延ばせる
◦耐熱性:高温環境下でも性能が安定
ピアノ線は高強度ですが、繰り返し荷重に対する耐久性がやや劣ることがあります。ステンレス線は耐食性に優れますが、コストが高めです。オイルテンパー線はこの二つの中間に位置し、強度・耐久性・コストのバランスが良いことが特徴です。
オイルテンパー線の主な種類
用途に応じて複数のオイルテンパー線が使い分けられます。
1.SWOSC-B
高応力・長寿命が要求される分野で使われています。サスペンションコイルスプリングなど、繰り返し大きな荷重がかかる部品に適しています。
2.SWOSC-V
シリコンとクロムを含有し、高温環境や高応力条件での使用に向いています。自動車エンジンのバルブスプリングによく使用され、耐疲労性と長寿命性が強みです。
3.その他特殊鋼種
耐食性やさらなる強度向上が必要な場合に選択されます。
当社のオイルテンパー線を使用したばね加工事例はこちらからご覧いただけます。
ばね加工に使うメリット
オイルテンパー線を使用することで、ばね加工における以下のメリットが得られます。
- 長寿命化:繰り返し荷重に強く、ばね寿命を延ばせる
- コストバランス:高性能ながら比較的安価で、設計段階でのコストダウンに寄与
- 寸法安定性:加工後の寸法が狂いにくく、精度の高いばね設計が可能
ばね加工における注意点
ばね設計や加工時には、以下の点に注意してください。
▪環境条件:使用環境や温度条件によっては性能が低下する可能性があります。
▪応力設計:繰り返し荷重や過負荷に耐えられる設計が必須です。
▪加工後処理:水素を吸収すると割れやすくなる性質があるため、防錆対策として黒染めやパーカー加工などの表面処理を検討することが重要です。
栄光技研株式会社ではオイルテンパー線を使用したばね加工の実績があり、材料選定や加工相談も承っております。詳しくはお問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。