フォーミング加工とは、複数回の曲げ加工を連続的に製造できるフォーミングマシンを使用した加工法です。フォーミング加工は線材曲げ加工とも呼ばれています。今回は、フォーミング加工(線材曲げ加工)の特徴やメリット、加工に適した材質について説明します。
▼【製造事例動画】自動車部品に使用するフォーミング加工工程をご覧いただけます。
フォーミング加工(線材曲げ加工)とは
フォーミング加工(線材曲げ加工)とは、線材に複数回の曲げを加えて形状を成形する製造方法です。マルチフォーミングマシンを使用することで、複雑な三次元形状でも安定した量産が可能になります。一般的な押しばねや引きばねと異なり、フォーミング加工は「ばねの特性を活かしつつ、機構部品としての役割も果たす」ような部品に適しています。自動車業界では、ワイヤーハーネスの固定部品や内装機構部品、保持具など、多機能性・軽量性が求められる場面で広く活用されています。
フォーミング加工に適した材料と注意点
フォーミング加工の品質や加工性は、材料選定によって大きく左右されます。代表的な材料とその特徴は以下の通りです。
●低炭素鋼(炭素量0.09%以下) 例:SWRM
曲げ加工性に優れ、ばね性を持たせる処理が容易です。
●中炭素鋼(炭素量0.25〜0.60%) 例:SWC
十分な強度を持ちつつ、成形性にも優れています。
SWC材を使用した線加工品実績はこちら
●高炭素鋼(炭素量0.60%以上) 例:ピアノ線
非常に高いばね性・引張強さを持っています。
ピアノ線を使用した線加工品実績はこちら
またステンレス線材(SUS304など)は、耐食性が求められる環境での使用に適しており、比較的加工も可能ですが、炭素鋼に比べて加工硬化しやすいため、形状や曲げ回数には注意が必要です。
一方、アルミやチタン、モリブデンなどの非鉄・軟質材は、フォーミング加工に適さない場合もあり、成形条件や変形限界の検討が必要です。
フォーミング加工が金型不要であるメリット
フォーミング加工が金型不要であるメリットは、設計や試作の初期段階においてもスピーディーな対応が可能となり、開発リードタイムの短縮とコスト削減に貢献します。
1.試作・多品種対応に強い
金型製作を伴わないため、開発初期の試作や多品種小ロット品にも柔軟に対応。設計変更にも即応できます。
2.初期費用の削減と短納期化
一般的なプレス加工と比べて、金型費が不要なため初期コストを抑えられます。段取り替えが少ないため、短納期対応にも向いています。
(参考文献:ばね 入門 日本ばね学会 日刊工業新聞社
はじめてのコイルばね設計 山田学 日刊工業新聞社
ばね 基礎のきそ 蒲久男 日刊工業新聞社)
栄光技研株式会社では、フォーミング加工の「金型不要」という特長を活かし、「まずは試作して形状確認をしたい」といった設計初期のご相談から、量産に向けた最適工法の提案まで柔軟に対応できます。お気軽にお問い合わせください。
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