トーションばねは引きばねと同じように、生産性・形状等により多くの成形方法が用いられています。特に用途が拡大されるにつれ、トーションばねの様々なフックの形状が図面化され、難度の高いものとなってきています。
トーションばねの特徴
トーションばねは、別名ねじりコイルばねやトーションスプリングとも呼ばれています。トーションばねは、回転方向に対しての反発力を利用します。 トーションばねを利用すれば、簡単な構造で回転の反発力を利用できます。 トーションばねは、安全ピンやシーソータイプのスイッチなど、様々な部品に多く利用されています。トーションばねのコイルの巻き方には隙間をあけない密着巻きと隙間を設けるピッチ巻きがあります。
(図1:密着巻きとピッチ巻き)
トーションばね設計時の注意点
トーションばねは、加工の容易性から一般的に密着巻きで製作されますが、コイル部が常に接触しており摩擦が大きくなるため、トルクの誤差が生じやすいなどの特徴があります。
トルクとは一般的にトーションばねに使用します。荷重に、腕の長さをかけたものがトルクです。トーションばねは、巻き込む方向(内側に曲げる)、巻き戻す方向(外側に反る)に関わらず、設計上、ばね定数は同じです。
ただし、巻き戻す方向(外側に反る)では、巻き込む方向(内側に曲げる)の時と応力の計算が異なります。同じ角度でねじった場合、基本的には、巻き戻す方向(外側に反る)の場合が、巻き込む方向(内側に曲げる)に比べて応力的に不利になります。
また塗装が必要なトーションばねの場合、ピッチ巻きを推奨いたします。密着巻きの場合、塗装が密着部に入り込まず錆が発生するからです。錆が発生すると、破損に至る恐れもあるので注意しましょう。
シングルトーションばねとダブルトーションばね
ダブルトーションばねは、左右2つのねじりコイルばねが合体した形状をしたばねです。
シングルトーションばねとダブルトーションばねの違いは、ダブルトーションばねはシングルトーションばねの2個分の荷重が発生します。つまり2倍のばね定数になります。(線径や材質が同条件だった場合)
コスト面では、ダブルトーションばねはシングルトーションばねより高くなります。
トーションばねの腕の形状
トーションばねの腕の形状のうち長い腕は単純なストレートではなく、取り付けやすくするためにさらに曲げを加えたものもあります。その代表的なものは、1段曲げ、2段曲げ、フックをもつ形状です。
(図2:トーションばねの形状例)
(参考文献 JIS B 2704-2:2018 コイルばね―第2部:仕様の表し方)
大阪の門真市にある栄光技研株式会社ではトーションばねの短納期の設計変更や受注量の変動にも対応可能です。図面やサンプルがあれば、1個から製作できます。ぜひお気軽にお問い合わせフォームまたはお電話でご相談ください。