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もっと知りたい 技術コラム

炊飯器に使用するねじりコイルばね(トーションばね)の事例と荷重を設計するポイントを説明します

炊飯器の蓋など開閉強度の調整にはねじりコイルばねの力が用いられています。よく試作品で市販品のねじりコイルばねを試したが、サイズや強度が合わない・ねじりコイルばねが折れてしまうといったご相談があります。今回は、電化製品の炊飯器に使用するねじりコイルばねの荷重設計のポイントを解説します。

ねじりコイルばねの荷重設計のポイントは?

ねじりコイルばねの荷重設計は、「使用用途」と「使用環境」から考えていきます。荷重はばねの持っている強さ、押した時に元に戻ろうとする力です。
使用用途は、開閉スピード、使用頻度、開閉に必要な強さなどが挙げられます。使用環境は外気や水分に触れるか(屋外屋内・海沿いなど)、熱にさらされるかなどの条件を考慮していきます。

炊飯器に組み込まれているばねについて

炊飯器の開閉部分は自動と手動の2パターンがあります。自動はボタンを押せば自動でふたが閉まり、手動は蓋を開閉部分に手の力で戻すことによって蓋を閉めるパターンです。手動の場合、ねじりコイルばねが適用されます。開閉ボタンには圧縮ばねが入っています。自動の場合は、あまりばねが使われることはありません。
炊飯器の蓋の重さや蓋の開くスピード、毎日3回以上開閉する条件は「使用用途」となり、炊飯時には水蒸気に触れるというのが「使用環境」になります。

下記にて使用用途と使用環境をまとめてみました。条件をふまえて設計していきます。

  • 開閉スピード:ゆっくりと開閉する
  • 使用頻度:耐久回数 数十万回
  • 開閉に必要な強さ:人力で開閉できる強さ
  • 環境:室内利用(温度)

ばねを搭載する炊飯器などの機器の使用用途と使用環境を具体的に想定し、必要な荷重になるようにねじりコイルばねを設計していきます。

荷重を変更したいときは?

ねじりコイルばねの荷重が変わるポイントは、1.材料 2.線径 3.コイルの巻数です。条件を組み合わせることで、ご要望の荷重を設計していきます。荷重を強くしたい場合は、ばねの材質をピアノ線にすることで強度アップ、錆にくさを重視するならステンレス材を用いることが多いです。
その他、ばねの線の太さを変更できない場合は、コイルの巻数を変えることで最適な荷重に調整していきます。コイルの巻き数が多いと荷重が弱くなり、少ないと強くなります。
今回は、身近にある炊飯器を例に挙げて、ねじりコイルばねの荷重設計のポイントを解説しました。
ねじりコイルばねは医療機器や車両など様々な部品にも利用されています。医療機器関係に対応したねじりコイルばねの事例はこちらのブログにまとめていますので、ぜひご覧ください。

栄光技研株式会社では設計開発の段階から一緒にサポートさせていただきます。図面が無い、荷重が決まっていないという場合でも対応可能です。ばねについてお困りの際は、ぜひお気軽にお問い合わせフォームまたはお電話でご相談ください。

 

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