医療機器に使われる部品は高い衛生性と耐久性が求められます。中でもステンレス材は、錆びにくさ(耐食性)や加工性のバランスに優れています。
今回は、医療用ステンレス部品の材質選びや表面仕上げの基本についてわかりやすくご紹介します。
当社のばね加工風景の一例です。(医療用ではありません)実際の医療用部品においても、同様に高い精度と安定した加工品質で対応しています。
医療でよく使われるステンレス材の基本
医療機器でよく使われる材料は大きく分けて2種類あります。SUS304とSUS316の詳細な違いについてはこちらをご覧ください。
•SUS304
一般的なオーステナイト系ステンレスです。加工性に優れ、幅広い部品に採用されています。ただし、塩素系薬品や強酸にはやや弱いため、使用環境に注意が必要です。
•SUS316
モリブデンを含有しており、SUS304より耐食性が高い。消毒液や滅菌処理(高温蒸気、アルコールなど)にさらされる部品に適しています。外科用器具や滅菌対応のパーツによく採用されます。
•SUS430などのフェライト系
磁性を持ち、比較的コストを抑えられます。強度や耐食性の点では304・316に劣りますが、用途によっては有効です。
材質選定の際には、使用環境・求められる強度・コストバランスを踏まえ、適切なグレードを選ぶことが重要です。
医療分野での表面処理
医療機器におけるステンレス部品は、「表面処理」が重要な品質要素になります。汚れや菌が付着しづらい=洗浄しやすく、衛生面でも優れている必要があります。
■主な仕上げ処理の例
•バフ研磨:機械で表面を磨き上げる処理。ツヤが出て滑らかな仕上がりになります。
•電解研磨:電気化学的に表面を溶かして平滑化。微細な凹凸が減るため、汚れ・菌の付着リスクが減少します。
どの処理を施すかは、洗浄方法・薬品の種類などによって変わります。試作段階で表面処理まで想定した検討が進められると、後の不具合を減らせます。
医療機器関連の製作事例
以下は、実際に弊社が対応した医療機器向けステンレス部品事例です。
1.分包機に使用するダブルトーションバネ
2.薬品関連機器に使用する押しバネ
医療機器や食品機械など衛生性と耐食性が欠かせない分野では、部品の材質選定・表面処理の判断がポイントです。栄光技研株式会社では試作1点からのご相談や設計意図や使用環境に応じた技術的なご提案が可能です。ぜひお気軽にお問い合わせください。