webカメラを固定する時に使用するクリップにはトーションばね(ねじりコイルばね)が用いられています。今回はwebカメラ設置に使われるトーションばねの仕組みと選定時に押さえておくべきポイントを解説します。
トーションばねとは?
トーションばね(ねじりコイルばね)は、回転方向に対して力を発揮するばねです。洗濯バサミやクリップ、ドアの蝶番など「開閉の動作を支える機構」に多く使用されています。
トーションばねの基本構造
・コイル部分がねじれることでトルク(ねじり力)を発生
・アーム(脚)の動きにより、開閉や保持動作を実現
Webカメラのクリップとトーションばねの関係
現在、多くのWebカメラは「クリップ式」の固定方法が採用されています。このクリップ部分に使われているのが、トーションばねです。
■固定方法の仕組み
1.ユーザーがクリップの持ち手をつまむ
2.ばねがねじれることで、クリップが開いた状態に
3.手を離すと、ばねが元の形に戻ろうとし、クリップが閉じて固定される
この構造によって、小さな力で確実な固定が可能になっています。
■使用されるばね仕様の一例
線径:1.0〜2.0mm程度
材質:SUS304WPBなどのステンレス(錆防止・見栄え重視)
プラスチック部材との組み合わせを想定した設計が多く、ばねだけ金属製にすることで耐久性を確保しています。
▼固定力の調整ポイント
トーションばね設計で重要なのは、荷重バランスです。
・固定力が強すぎる場合:モニターが傷つく恐れがある
・固定力が弱すぎる場合:安定性が欠け、Webカメラが落下する恐れがある
設計段階で荷重を調整するために、以下の要素に注目します。
- 線径:太くするとより強い力が発生
- コイルの巻数:巻数を増やすことで、トルク(回転力)が増加
- 腕の長さ:テコの原理により、荷重を調整することが可能
(参考文献:ばね 入門 日本ばね学会 日刊工業新聞社
はじめてのコイルばね設計 山田学 日刊工業新聞社
ばね 基礎のきそ 蒲久男 日刊工業新聞社)
トーションばねのポイントは?
トーションバネはWebカメラ以外にも多くの機器に使用されています。以下はその一例です。
●炊飯器のふたの開閉保持
●ノートパソコンのヒンジ部分
●医療機器や精密装置の回転部
当社のトーションバネ製作実績一覧はこちら
▼選定のポイント
1.試作・少ロット対応の可否
量産前に評価が必要な場合が多いため、1個から対応できるかが選定基準となります。
2.用途に応じたばねの提案が可能か
ばねの役割や取り付け方に応じて、巻き方向や自由長を調整できる製造元を選ぶことが重要です。
今回はwebカメラに固定するクリップを例に挙げて、トーションばねについて解説しました。
栄光技研株式会社では試作から量産まで対応可能となります。荷重調整や最適なばね選定についてお困りの際は、ぜひお気軽にお問い合わせフォームまたはお電話でご相談ください。
お問い合わせフォームはこちら