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残留応力とは?ばねの疲労寿命・へたりに与える影響と対策を解説

ばねは残留応力という現象が存在します。疲労寿命や経年変形に直接影響する重要な因子です。残留応力とは何か、なぜ生じるのか、どう制御すればよいかをわかりやすく解説します。

残留応力とは?

残留応力とは、外から力や熱が加わった後、その要因を取り除いても材料の内部に残り続ける応力(内力)のことです。

残留応力がばねに与える影響

⁻疲労破壊との関係について
ばねは何千回・何万回と繰り返し変形します。繰り返しの力によって材料が少しずつ傷ついていき、最終的に破断する現象を「疲労破壊」と言います。コイルばねを例にとると、コイルの内径側(曲がりの内側)には構造上、引張応力が集中しやすくなっています。ここに引張残留応力まで重なると、き裂が発生・成長するリスクが一気に高まります。

逆に、表面に圧縮残留応力が付与されていれば、使用中の引張応力を打ち消す効果が生まれ、疲労寿命は大幅に向上します。ばねは、何千回・何万回と繰り返し変形しながら使用されます。繰り返しによって材料が徐々にダメージを受け、最終的に破断する現象を「疲労破壊」といいます。
コイルばねの場合、コイルの内径側には構造上、引張応力が集中しやすい特徴があります。さらに「引張の残留応力」が重なると、亀裂の発生が一気に高まります。

⁻経年変形(へたり)との関係
残留応力が不均一な状態のまま使用を続けると、応力緩和の進み方にもばらつきが生じます。結果、ばねの自由長(無荷重時の長さ)が徐々に変化していきます。この現象が、いわゆる「へたり」です。

残留応力の制御方法

残留応力は、用途に応じて「残し方」や「整え方」をコントロールすることが重要です。ばね製造で用いられる代表的な手法を紹介します。

手法

概要

メリット

注意点

ショットピーニング

鋼球を高速で打ちつけ、表面に圧縮残留応力を導入する

疲労寿命が大幅に延びる/自動車ばねの標準工程

表面粗さが増すことがある

セッチング(初期変形)

製造後に意図的に大きく変形させ、有利な応力分布を付与する

経年変形(へたり)も同時に抑制できる

変形量の厳密な管理が必要

低温焼鈍し(テンパ₋処理)

200〜300°Cで加熱し、有害な残留応力を解放・均一化する

内部応力の安定化/脆性低減にも効果あり

処理後の表面硬さがやや低下する場合あり

特にテンパー処理は、加工によって生じた残留応力を安定させるための重要な工程です。行うことで、応力分布が均一化され、へたりが起きにくく、ばね定数の安定した製品に仕上がります。

材料による違い

残留応力の発生やその影響は、材料によっても異なります。代表的なばね材の特徴を整理します。

▪SWP-A/B(ピアノ線)
高い引張強さを持つため、わずかな残留応力の偏りでも性能に影響しやすい材料です。そのため、200〜300℃での低温焼鈍しによる応力の均一化が一般的に行われます。

▪SUS304(オーステナイト系ステンレス鋼)
冷間コイリング時に加工硬化が起こりやすく、残留応力が蓄積されやすい特徴があります。製造後の低温焼きなましによる応力解放が有効です。

▪SUP6・SUP7(シリコン・クロム鋼)
ショットピーニングの効果が出やすく、疲労寿命の改善幅が大きい材料です。自動車用サスペンションばねに多く使用され、焼入れ・焼戻し後にピーニングを行うのが一般的です。

栄光技研株式会社では、材料選定から加工条件、各種処理工程まで一貫して検討し、残留応力を適切にコントロールしたばね製造を行っています。使用条件に応じた設計・加工のご相談も承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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