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もっと知りたい 技術コラム

ペンに使われる圧縮ばねの設計事例と製造ポイントを解説します。

圧縮ばねは多くの業種において幅広く使用されています。代表的なものの1つが筆記用具のペンです。ペンの設計開発と設計のポイントを紹介します。

圧縮ばねは、ばね部品の中でも最も幅広く使用され、多くの機械や器具を支える重要な存在です。今回は、筆記用具であるペンに使用される押しばねの設計開発事例を交えながら、圧縮ばねの設計ポイントをご紹介します。

 ペンに使用される圧縮ばねの役割

ボールペンの内部には、ペン先に圧縮ばねが組み込まれています。筆圧によってチップが押し込まれることで微細な隙間が生まれ、そこから適量のインクが流れ出す仕組みです。書くスピードや力加減に応じてインクの流出量が変化するのは、この小さなばねが担っている役割によるものです。

圧縮ばねの特徴

圧縮ばねは、線材をらせん状に巻き、圧縮方向に力を作用させて使用します。製造方法がシンプルで、引きばねやトーションばねに比べて設計条件が少なく、比較的コストを抑えやすいのが特徴です。
ただし、その分わずかな設計の違いが性能に大きく影響するため、微調整には注意が必要です。

当社での圧縮ばね製作実績一覧はこちら

ペン用圧縮ばねの設計

ペンの製品形状やデザインは先に決まっていることが多いため、その制約条件の中でばねを設計します。一方で、ペンには「加圧機構」と呼ばれる仕組みがあり、インク層の後方からばねで圧力を加えるなど、細やかな工夫が施されています。栄光技研では、巻き数や荷重設計に工夫を凝らし、ペンの使い始めから使い終わりまで安定した書き心地が得られるよう設計しました。

圧縮ばねの加工と熱処理

圧縮ばねの設計が完成しても、そのままでは安定しません。熱処理を施すことでばねは変形し、その度合いは材質や線径、処理温度によって異なります。そのため 必要に応じて試作を繰り返し、狙い通りの精度へと近づけることが重要です。試作を経て仕様が固まった後は、実際の量産工程に移ります。下記図は冷間成形による一般的な製造フローをご紹介します。

ばね製造工程の1つである冷間成形に関する工程フローを説明します。

圧縮ばねを設計する上でのポイント

圧縮ばねを設計する際は、次の2点を明確にすることが大切です。

1.使用用途をはっきりさせる
ばねを何のために使用するのかを定義しなければ、耐久性や形状を正しく決められません。機能を踏まえてばねの種類を選択しましょう。

2.必要とする性能を明確にする
強度・荷重・耐久性など、どこに重点を置くかを設計目標として設定することで、開発の方向性が定まります。

押しバネの設計製作について詳しくはこちらをご覧ください。

栄光技研株式会社では、ばね開発の初期段階からお客様をサポートし、オンラインでのご説明も可能です。圧縮ばねについてご不明点や課題がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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