鍵は玄関や車のドア、会社のデスクなどに多く使われており、錠の開閉に重要な役割を果たしているのが圧縮コイルばね(押しばね)です。今回は鍵穴部分のシリンダー錠に使用する圧縮コイルばねの仕組みや特徴、設計ポイントについて解説します。
シリンダー錠とは
シリンダー錠とは鍵を差し込んで開けるための穴のことです。穴や中の構造の種類によって、5種類に分類されます。中でもシリンダー錠は最も普及している錠前でギザギザの鍵を使用するのが特徴です。鍵の凹凸によりシリンダー内のピンが上下に動き、適切な位置にくることで、開錠することができます。
シリンダー錠にある圧縮コイルばねの仕組み
このピンの動きを支えているのが 圧縮コイルばね(押しばね) です。
▪鍵を差し込んでいないとき → ばねは伸び、ピンを押し下げています。
▪鍵を差し込んだとき → 鍵の凹凸に合わせてピンが持ち上がり、ばねが縮みます。
この動きによってピンが揃い、施錠・解錠が可能になります。つまり「鍵がスムーズに差し込み・回せるか」は、この小さな圧縮コイルばねの性能に左右されているのです。
圧縮コイルばねの特徴は?
シリンダー錠に使われるばねは、線径0.1〜0.3mm程度、自由長5mm以下の精密ばねが多く採用されています。また、鍵は屋外で使われるケースも多いため、錆に強いステンレス材が選ばれるのが一般的です。
材質ごとの特徴についてはこちらの記事で解説しています。
圧縮コイルばねのポイントは?
設計上の大きなポイントは 荷重の均一性 です。
◦荷重が弱すぎると → ピンが適切な位置に来ず、鍵が奥まで入らない
◦荷重が強すぎると → 鍵が差し込みにくく、回しづらい
つまり、全てのばねの荷重を揃えることで「誰でもスムーズに開け閉めできる」鍵が実現します。荷重は 線径・巻き数 によって変わるため、設計段階での計算が欠かせません。
実際に弊社が製作した圧縮コイルばねの事例はこちらをご覧ください。
栄光技研株式会社では0.1〜1.2mmの圧縮コイルばねを製造しています。「荷重の調整が難しい」「ばねが緩い・固いなどの問題」「設計や試作で押しバネ全般に関する悩み」など、ばね設計・製作に関するご相談は、ぜひお気軽にお問い合わせフォームからご連絡ください。