製品に使用される引きバネ(引張バネ)は、フック部分が構造上どうしても擦れやすく、異音や折損の原因になることがあります。金属部品と干渉する環境では「キィキィ」「ギシギシ」といった異音が発生しやすいです。今回は、実際にバネ製造を手がける私たちが、現場でよく見られる「異音の原因」と「実用的な対策方法」をわかりやすくご紹介します。異音だけでなく折損リスクも高まります。
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実際に引きばねの製造している様子の動画です。
引きばねによる異音が発生する原因
主な原因はフック部と相手部品の摩擦です。引きバネのフックを金属穴などに引っかけて使用する場合、動作時にこすれ合い、異音や摩耗が発生します。
特に以下のような状況で異音が出やすくなります。
•フックの取り付け位置がズレている
•組み付け時に傾きがある
•相手部品が金属素材で硬度が高い
摩耗が進行すると、異音だけでなく折損リスクも高まるため、早めの対策が重要です。
引きバネの異音を防止する2つの対策
引きばねの異音を防止する対策は2つあります。
■フックの形状・取り付け位置の見直し
接触面積が減れば、異音リスクも低減します。しかし、フック形状や取り付け位置の変更には「組み付けスペース」や「引張力の方向」などの設計条件も関わってくるため、総合的な調整が必要です。取り付け位置の見直しと初張力の設定もポイントです。
引きばねの初張力について分かりやすく解説
■グリス・潤滑剤の塗布
初期対策として効果的なのが「潤滑処理」です。グリスや被膜潤滑剤を塗布することで、フックと相手部品の摩擦を軽減し、異音を防止できます。
異音対策の事例紹介
あるオーディオ機器メーカー様からは「引きバネからの微細な異音で音質に影響が出る」とのご相談がありました。コイル部にスポンジを挿入することで音を吸収し、異音の発生を防ぐことに成功しました。
このように、設置環境や製品特性に応じた柔軟な対策も有効です。
栄光技研株式会社では設計段階からのサポートも可能です。「異音が出ているけど原因がわからない」「強度と静音性を両立したい」など、引きバネに関するお困りごとがあればお気軽にご相談ください。
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