チタン材でばねを製造する場合、強度が高いだけではなく、しなりやすくもあり、少し曲げても元に戻る性質があるため、ばね特性もあります。今回はチタン材でばねを製造することのメリット・デメリットや種類、各チタン材の特徴について解説します。
チタン材をばねに使用するメリット・デメリット
チタン材の特性には「強い・錆びにくい・軽い」という3つの大きなメリットがあります。主に航空宇宙産業、機械工業や輸送用機器など軽量化や高強度を要求される構造部品、化学工業や船舶など耐食性を重視する機器などに利用されています。
①強度
チタンはとても強度が高い金属です。強度はおよそ鉄の2倍、アルミの3倍になります。
②耐食性
チタンの耐食性は、とくに塩素イオンを含む海水のような環境や硝酸のような酸化性酸の環境では優れています。しかし、硫酸や塩酸のような非酸化性酸の環境では使用することはあまり推奨しません。
③軽量
チタンのなかでもチタン合金は密度が鉄の約1/4なので軽量金属材料として分類されています。
上記で述べた3つのメリット以外にも、優れた点があります。 その1つは人体に対して無害であるという特性もあります。人体に入れても溶けにくく、人工骨の作成にも使われています。また、熱や電気を通しにくい、環境に優しいなどの性質も持っています。
(参考元 軽い金属3選!【金属加工でよく使われる】特徴も解説!)
チタン材をばねに使用するデメリット3つあります。
①値段が高価である
②難削材である
③耐摩耗性が悪い
高価であることから、用途が軽量化や耐食性の要求が高いものに限られています。デメリットの詳細については別のブログでまとめております。チタン材のデメリットの詳細はこちら
チタン材の種類
チタンにはたくさんの種類がありますが、大きく分けて「純チタン」と「チタン合金」の2種類に分けられます。純度が99.999%以上の純チタンと、モリブデンなどの他の金属を添加したチタン合金があります。
1.純チタン材
純チタンはわずかに他の成分も含まれていますが、それでも純度の高いチタン材のため、純チタンと呼ばれています。純チタンはJIS1種・2種・3種・4種と分かれます。1種が最も柔らかく、2種、3種とより硬くなります。
2.チタン合金
チタン合金は純チタンよりも強度や耐食性などが強化された非磁性の金属です。今回はαチタン合金、βチタン合金 α—βチタン合金の基本的な3種類を紹介します。
・αチタン合金:低温から高温まで、安定した強度を持っています。しかし加工性が悪いということが欠点です。
・βチタン合金:高強度を持っているにも関わらず、加工性に優れています。
・α—βチタン合金:αチタン合金とβチタン合金の特性を持っており、扱いやすいチタン合金です。耐熱性にも優れており、強度・延性・靱性も兼ね備えています。
純チタンもチタン合金も性質が細かく分けられているので、それぞれ適性に応じて使い分けましょう。
栄光技研株式会社では、チタン材でのばね製造が可能です。チタン材での加工やチタン材についてお困りの方はぜひお気軽にお問合せフォームまたはお電話でお問合せください。
(参照元 チタン加工の基礎【チタン切削加工】)