ばねには多くの性能が求められますが、最も重要なことは長期にわたってばねの機能を維持すること、すなわち破損やへたりが生じないことです。特にばねの破損は突然発生すると、思わぬ事故に繋がることがあります。今回はばねの破損の原因と対策について説明します。
ばねの破損とはどんな状態?
破損とは、ばねの機能が失われる状態のことをさします。
•ヒビ割れや亀裂
•折損(ばねが折れる)
•原形をとどめない変形
•部品への干渉による損傷
中でも「折損」は破損の一種で、設計ミスや加工不良に起因することが多いです。
折損の1つである疲労破壊について詳しくはこちらのブログをご覧ください。
ばねの破損の原因と対策
ばねの破損の原因は大きく分けて3つあります。それぞれの原因と対策を以下にまとめました。
1.使用方法・設計ミスによる破損
・過大な力がかかる設計
・スペースが狭く、ばねが部品に干渉
・使用環境(高温・湿気・振動など)との不適合
■対策
・荷重やストロークの計算を適切に行い、ばねにかかる応力を確認
・組付けスペースと動作干渉の有無を3Dや実機で検証
・高温・腐食・繰り返し使用などに応じた材料選定を行う
2.製造不良による破損
・熱処理不足や偏った加工
・表面処理のムラ
・素材のロット不良など
■対策
・信頼できる製造メーカーに相談し、製造プロセスの改善
・必要に応じてテンパー処理(熱処理)を追加し、耐力・疲労強度を向上
ばねの熱処理について詳しくはこちら
3.経年劣化による破損
•使用回数・年数による疲労
•摩耗や腐食による性能低下
■対策
•設計段階で寿命(耐用回数)を明示
•定期的な点検
•想定使用期間が過ぎたら、事前に試作・再設計を検討
ばね破損を防ぐ4つのポイント
ばねの破損を防ぐには下記4点を注意し、ばねの設計や使用用途を見直すことをおすすめします。
1.使用条件に合った材質を選ぶ
2.過大な力がかからない設計にする
3.適切な熱処理や表面処理を施す
4.試作段階で問題を早期発見する
「ばねが壊れた」「部品との干渉でうまく動かない」といった問題は、実は多くの現場で起こっています。栄光技研株式会社では、ねじりコイルばねや引きバネなどの破損トラブルの改善実績が多数あります。ばねの選定や設計に関して少しでも不安がある方は、まずはお気軽にご相談ください。
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