ばねやフォーミング部品を組み込んだ後に、動作に不具合が出る
組立後のズレや精度不良が出るが、原因が分かりにくい
設計時に公差をどう見込めばよいのか迷う
上記問題は、「組立時の累積公差」と「部品精度のばらつき」が大きく関係しています。本記事では、バネやフォーミング加工品を使った組立部品の公差管理について、事例を交えてわかりやすくご紹介します。
フォーミング加工について詳しくはこちらをご覧ください。
組立部品とは
組立部品(ユニット品・アッセンブリ)は、ばねや金属プレス品など複数の部品を組み合わせて構成される完成部品です。例えば、軽トラックの荷台扉に使われる「ゲートロックハンドル」は、ばね・プレス部品・板金部品などをカシメや溶接で組み立てた製品です。
組立における「累積公差」とは?
各部品単体では公差内でも、複数を組み合わせるとズレが「累積」され、最終的に組立ズレや不具合が発生することがあります。
特に、
・線加工品(ばね)が最後に組み込まれる構成
・板バネやトーションバネの角度ズレ
組立後の「動作の引っかかり」「戻り不良」「軸の傾き」などのトラブルにつながります。
公差管理で失敗しないための3つのポイント
公差管理で失敗しないためのポイントは3つになります。
1. 最終公差基準を組立単位で設定する
図面公差は個別部品ごとで終わらず、「最終組立体でどこまでズレて良いか」を先に定義しておくことが重要です。その上で部品ごとの許容公差を逆算する形が、精度とコストのバランスを取りやすくなります。
2. バネ・フォーミング部品は“機能公差”を設定
ばねやフォーミング部品は、形状や加工工程によってばらつきが出やすいため、「寸法公差」ではなく「機能公差(動作・荷重など)」で見るべき場合も多くあります。
例:トーションばね:自由角 ±◯°/荷重 ±◯%
フォーミング部品:折り曲げRの再現性・位置精度
トーションばねの設計製作についてはこちら
3. 設計段階から製造目線を取り入れる
ばねやフォーミング部品は、金型不要で微調整がしやすい反面、設計が最後になりやすいです。組立後に調整できない寸法は、あらかじめ「このくらいズレても大丈夫か?」を現場とすり合わせておくことが、失敗防止につながります。
ゲートロックハンドルの事例
実際に当社で製作したゲートロックハンドルでも、初期設計段階では公差指定があいまいなため、組立時にレバーの戻り不良が発生した事例がありました。
要因は、
1.トーションばねの自由角が指定なし(現物合わせだった)
2.穴位置とバネ取付位置のズレが累積していた
このようなケースでは、ばねの角度公差を明確に設定し、組立治具側で位置決めを行うことで改善しました。
栄光技研株式会社では、組立部品を前提にした公差のご相談やバネ・フォーミング品の寸法と動作の最適化など対応しています。部品単体ではなく、「組立完成品としてうまく機能するか」を重視した提案が可能です。お困りの方は、ぜひお気軽にお問い合わせフォームもしくはお電話でご相談ください。
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