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もっと知りたい 技術コラム

ピアノ線とは?SWP-A・B・Vの強度や用途の違いを詳しく解説!

3種類あるピアノ線の特徴・用途や成分、種類の違いを紹介します。

ピアノ線は、硬鋼線よりも高い信頼性を持つばね材で、主に工業製品に使用されます。高い引張強度(引っ張る力に耐える強さ)を持ち、硬さや耐疲労性にも優れているのが特徴です。

▼【製造事例動画】SWP-B φ1.6を使用したねじりコイルばねの加工工程をご覧いただけます。

楽器のピアノにも使用している?!

「ピアノ線」という名前ですが、一般的に工業用の高品質ワイヤーを指します。楽器用は別名「ミュージックワイヤー」と呼ばれ、音の均一性や張力に特化しているため、工業用ピアノ線とは用途・規格が異なります。

ピアノ線の特徴・用途

ピアノ線はJIS規格(SWP-A / SWP-B / SWP-V)に沿って管理されており、用途に応じて選定します。
SWP-A・B・Vの用途の違いを説明しています。●SWP-A・SWP-B
ブレーキやクラッチ部品、ベッドや建築用シャッターのスプリング、自動車のシートスプリングに使用。例えば、自動車シートのばねにはSWP-Bが多く使用されています。その理由は、引張強度により形崩れしにくく、長期使用でもヘタリが起きにくいためです。
ピアノ線を使った加工事例を見る

●SWP-V
船舶や自動車のエンジン部品(弁バネ)に使用

ピアノ線は鉄を主成分とするため、防錆処理をしなければ錆びやすいので注意が必要です。
ピアノ線に関する防錆のポイントはこちらで解説しています。

ピアノ線の成分

ピアノ線は、P・S・Cuなどの不純物が厳格に管理され、表面傷や脱炭層の規定も定められています。
【例】
・傷の深さ:0.1mm以下
・脱炭層の深さ:0.07mm以下
以下は、JIS規格に基づくピアノ線の成分表です。

表①ピアノ線材の化学成分表

種類記号

化学成分

C(炭素)

Si(ケイ素)

Mn(マンガン)

P(リン)

S(硫黄)

Cu(銅)

SWRS82A

0.80~0.85

0.12~0.32

0.30~0.60

0.025以下

0.025以下

0.20以下

(参照URL:ピアノ線の成分について

SWP-AとSWP-Bの材質の違いについて

SWP-A(A種)とSWP-B(B種)の違いは、材料強度です。用途に応じて、SWP-AとSWP-Bを使い分けることが重要です。

1.SWP-A(A種)
・繰り返し荷重(何度も力を加えること)に対して優れた耐性を持つ
・しなやかさがあり、成形加工しやすい
当社が製作した自動車内装部品向けSWP-A線加工品の実績はこちらをご覧ください。

2.SWP-B(B種)
・SWP-Aより約10%高い引張強度を持つ
・耐ヘタリ性(使っているうちに形が変わらない特性)が高いが、加工しにくく、成形時の割れリスクが高い
当社が製作したSWP-Bを使用したトーションバネの事例こちら。

栄光技研株式会社では使用環境に応じて、ばねの設計提案も可能です。「どのピアノ線を選べばよいかわからない」「SWP-Bの加工性について相談したい」といった設計・調達の課題がありましたら、お気軽にご相談ください。  設計段階からのご提案も可能です。
お問い合わせフォームはこちら

 

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