冷蔵庫の観音開きタイプ(フレンチドア)の扉には、「回転仕切板」と呼ばれる可動式の板があり、隣の扉と連動して動作する仕組みになっています。仕切板のスムーズな動きを支えるのが、ねじりコイルバネ(トーションバネ)です。冷蔵庫に使われるねじりコイルばねの役割や設計時の注意点、荷重設計に関わるポイントを解説します。
実際にねじりコイルバネを製造している動画です。
冷蔵庫の扉について
冷蔵庫のドアの開き方は、右開きまたは左開きの片開き、中央付近から2枚のドアが開く観音開き(フレンチドア)、左右どちらからでも開く両開き(左右開き)タイプがあります。今回は観音開きタイプの冷蔵庫の左の扉についているねじりコイルばねについて説明します。
冷蔵庫の観音扉とねじりコイルバネの関係
冷蔵庫のフレンチドアでは、左扉を開けると仕切板が折りたたまれ、右扉を閉めると自動的に板が展開されます。動きを実現するのが、回転仕切板に取り付けられたねじりコイルバネです。
・右扉閉 → ねじりコイルバネの力で板が開く
・左扉開 → 板が内側に折りたたまれる
ねじりコイルバネがなければ、仕切板は固定されず、扉の開閉がうまくいきません。
ねじりコイルバネの荷重と動作の関係
ねじりコイルバネはねじりモーメント(トルク)で荷重を伝えるばねです。冷蔵庫のような機構では、開閉時に適切なトルクがかかっていないと以下のような不具合が生じます。
●荷重が弱すぎる → 仕切板が正しく展開されず隙間が生じ、扉が閉まらない
●荷重が強すぎる → 勢いよく扉が閉まり危険
そのため、使用環境と設計荷重に合わせて最適な材料選定・巻数・アーム長を設計することが非常に重要です。
使用するねじりコイルバネの仕様と材質について
冷蔵庫のねじりコイルバネには、以下のような仕様のものがよく使用されます。
項目 |
内容 |
線径 |
φ1.5〜2.0mm程度 |
材質 |
ステンレス鋼(SUS304-WPBなど) |
特徴 |
錆に強く、長期間の使用に耐える |
個数 |
1台につき1個使用が一般的 |
冷蔵庫内部は湿気や結露の多い環境のため、耐食性に優れた材質が必須です。
詳しくは当社のステンレスばね製品一覧をご覧ください。
ねじりコイルバネの設計のポイント
設計で特に重要なのはアーム(腕)形状と荷重設計です。
■設計時のチェックポイント
1.アーム角度・長さの誤差 → 数ミリで組付け不可・動作不良の原因に
2.荷重の設定ミス → 動作不良や破損リスクを高める
3.材質の選定 → 耐久性とコストのバランスを考慮
摩耗や破損を防ぐには、荷重・形状・材質のバランスをとった設計が欠かせません。
栄光技研株式会社では線径0.5㎜~2.0㎜のねじりコイルバネは機械「MX-20 」「RX-20」にて製作いたします。当社では試作1個から評価~量産への移行まで一貫対応、また設計段階からのご相談も可能です。、ぜひお気軽にお問い合わせフォームでご相談ください。
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