ばね設計を行う際、図面上ではばね定数(k)を指定しておけば、同じ性能のばねができると思いがちですが、実際に製作・荷重試験を行うと「設計値と実測値が合わない」という相談を受けることが多いです。原因は「自由長」「たわみ」「応力」を別々で設計していることが多いからです。
今回は、ばねの性能を左右する3つの関係について整理しながら、設計値と実測値のズレを防ぐポイントを解説します。
「自由長」「たわみ」「応力」それぞれの意味を整理
まずは基本的な用語の意味を整理していきます。
◦自由長(Lo):荷重をかけていない状態のばねの長さ。
◦たわみ(δ):荷重をかけたときに縮む(または伸びる)量。
◦応力(σ):ばね内部に生じる力の大きさで、疲労や破損に直結する値。
それぞれ独立しているように見えて、実際には密接に関係しています。「自由長」がわずかに変わるだけで、「たわみ量」や「応力分布」も変化し、結果としてばね定数(k)の値も変わってしまいます。
同じばね定数でも、実測値がズレる原因
ばね定数は、理論上「荷重÷たわみ」で表されますしかし、実際の製造現場ではさまざまな要因が影響します。
・材料のロット差による弾性係数の微妙な違い
・熱処理やショットピーニングによる残留応力の変化
・巻き径や巻き数のわずかな加工誤差
ズレを防ぐための3つの設計ポイント
図面上でわずかに見える差が、実際の性能に大きく影響します。特に自由長やたわみの公差を曖昧にしたままだと、同じ設計でもロットごとに性能が変わるリスクがあります。
1.設計条件を製造側と共有する
試作段階で実測値を確認し、自由長の調整を行う。
2.応力の限界値を把握する
材料特性表から許容応力を確認し、設計応力が上限を超えないようにする。
3.許容差を明示する
たわみ量や荷重に「±」の範囲を設定し、現場での判断幅を持たせる。
栄光技研株式会社では、ばね設計の段階から製造条件や試作のデータを共有し、設計値と実測値のズレを最小限に抑えるご提案を行っています。設計段階でのお困りごとや試作検討などもお気軽にご相談ください。

