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錆びにくく、幅広く使える「ばね用ステンレス鋼」とは?特長・種類・選定のポイントを解説します!

ばね材に使用するステンレス鋼の特徴と用途、ばね材として使用するときの注意点について説明します。

ばね材として使用されるステンレス鋼は、耐食性の高さと安定した性能から産業機械・家電・医療機器など幅広い分野で使われています。今回は、ばね用として使われる代表的なステンレス鋼(SUS304-WPBなど)の特長、ピアノ線との違い、選定時のポイントを解説します。

実際に、当社でオーステナイト系ステンレス鋼「SUS304-WPB」を使用してねじりコイルばねを製造している様子です。

ステンレス鋼とは?

ステンレス鋼は、鉄に10.5%以上のクロムを加えた合金で、表面に「不働態皮膜」という酸化被膜が形成されるため、非常に錆びにくい素材です。耐食性からばね用途としても需要が高く、特に水蒸気・湿気・薬品の影響を受けやすい場所で使用されます。

ピアノ線とステンレス鋼の違い

よく比較されるステンレス鋼とピアノ線の違いについて表にまとめました。

項目

ピアノ線(SWP)

ステンレス鋼(SUS304-WPBなど)

強度

非常に高い

ピアノ線よりはやや劣る

耐食性

弱い(錆びやすい)

強い(錆びにくい)

コスト

安価

やや高め

加工性

良好

良好(やや硬め)

使用例

屋内部品、乾燥環境、コスト重視の量産品

屋外、湿気・水・薬品に触れる環境

「とにかく強くしたい」という用途ではピアノ線が有利ですが、「耐久性と錆対策を重視したい」という場合はステンレスバネが最適です。
ピアノ線の特性やばね設計での使いどころについては、こちらの記事もご覧ください。

  • ばね用ステンレス鋼の主な種類と用途

  • ばね用ステンレス鋼の主な種類と用途について紹介します。

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  • 1.オーステナイト系(例:SUS304-WPB、SUS316)
    特徴:耐食性に優れ、非磁性。熱処理は不可だが、靭性が高く、溶接性も良い。
    用途:食品機器、医療機器、家電、精密部品
    備考:ばね材では「SUS304-WPB」が最も一般的。

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  • 2.フェライト系(例:SUS430)
    特徴:磁性あり。加工性は良いが、耐食性・靭性はオーステナイト系に劣る。
    用途:厨房機器、建材、自動車部品など

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  • 3. マルテンサイト系(例:SUS410)

    特徴:硬度が高く、熱処理により強度向上可能。ただし耐食性は最も低い。
    用途:タッピンねじ、刃物、シャフト部品など

    ステンレスバネを設計・選定するときの注意点

    ステンレスバネを設計や選定する際の注意点は以下になります。
    ●使用環境に合った材質か?
    → 湿気・水・薬品に触れるならSUS304系推奨します。
    ●ばねとしての必要荷重に合っているか?
    → 材料の違いで荷重特性も変化。事前確認が重要です。
    ●強度やコストのバランスがとれているか?
    → 強度を重視するならピアノ線、耐久性重視ならステンレスです。

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  • 栄光技研株式会社では「材質の選び方がわからない」「錆びやすくて困っている」といった初期段階のご相談でも、ヒアリングからサポート可能です。用途・使用環境に合わせた最適なばね材をご提案します。お問い合わせフォームまたはお電話にて、ぜひお気軽にご連絡ください。
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