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バネの特性を理解して選ぶ!環境別に最適なバネ材料と選定のコツ

ばねを使用する環境において材料が複数当てはまる場合は?よくばねが使われる環境の特徴と比較した材料を説明します。

バネの特性とは、温度・湿度・薬品・磁気などの環境に対して、バネ材料がどのように性能を発揮するかを示すものです。 例えば、耐食性・耐熱性・非磁性などが代表的な特性です。バネ材料を選定する際には、用途だけでなく環境も考えることがポイントになります。

実際にSUS316材を使用し、押しばねを製造している様子です。

バネを使う上で押さえておくべき4つの使用環境

バネ材料がどのように性能を発揮するかは、「環境特性」が大きく影響します。使用環境を大きく4つに分けて、それぞれに適した材料と注意点をご紹介します。

① 耐熱性・耐寒性
温度範囲:-40℃~150℃以上
注意点:高温ではバネの強度低下、低温では脆性化が発生
使用例:エンジン周辺、加熱装置、屋外設備(冬季)
推奨材料:ピアノ線、ステンレス鋼、ニッケル基超合金
ピアノ線の特徴についてはこちら

② 耐食性・耐候性
注意点:サビや腐食で破断リスクが増加
使用例:水道設備、食品機械、屋外機器
推奨材料:ステンレス鋼、ニッケルメッキ、チタン合金
ステンレスばね材の選定ポイントはこちら

③ 耐薬品性
注意点:酸・アルカリ・溶剤などの影響でバネが劣化
使用例:医療機器、洗浄装置、薬液を扱う設備
推奨材料:ハステロイ、チタン合金、PTFEコート製品など

④ 磁気性・非磁性
注意点:磁場の影響を避けるため、非磁性材料を使用
使用例:センサー装置、精密機構、検査装置
推奨材料:チタン合金、オーステナイト系ステンレス、コバルト基合金

4つ以外にも、導電性、超弾性や疲労耐久性などの視点も重要になることがあります。

材料選定の進め方と注意点

バネ特性を正しく反映するには、以下の4ステップが有効です。

1.使用環境を明確にする(温度、薬品、磁場など)
2.必要な特性を洗い出す(耐熱?耐薬品?非磁性?)
3.条件に合う材料を比較する(コスト、入手性、寸法対応)
4.試作・検証や専門メーカーへの相談

ばね材料を選択するポイントは?

上記で述べた特性に合ったばね材料が複数ある場合は、性能とコストの観点から、どの材料を使用するか選択しましょう。
代表的なばね材料の性能とコストを一覧表にまとめましたので、ぜひ参考にご覧ください。

材料

主な特性

使用例

コスト感

ピアノ線

反発性◎、耐熱△

屋内機械ばね

SUS304WPB

耐食性◎、耐熱〇

屋外設備

ハステロイ

耐薬品性◎

洗浄・薬品装置

×

チタン合金

非磁性・耐食性◎

センサーばね

×

コバルト基合金

耐熱◎、非磁性〇

航空・電子部品

×

高コストの材料ほど市場に存在する比率が少ないため、適用可能な寸法や入手までの期間などを十分に調べておくことが必要です。

(参考文献:ばね 入門 日本ばね学会 日刊工業新聞社 
 ばね 基礎のきそ 蒲久男 日刊工業新聞社

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