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ばね設計で一番多いトラブル「へたり」の原因は荷重と温度?へたりを防ぐ4つの対策を説明します。

ばねの設計をする際にへたりはとても重要です。なぜならへたりが大きければ大きいほど、ばねが設計どおりに動かなくなるからです。へたりはばねのトラブルで一番多いです。今回は、ばねのへたりについて・ばねのへたりを防ぐ方法をご説明していきます。

ばねのへたりとは

ばねのへたりは、一定の応力を受け続けた材料が時間の経過とともに変形を起こしていく現象です。つまりばねを長期間使用することにより、ばねの寸法が変化し、同じ働きが出来なくなってしまうのがへたりです。
材料に力を加えたときに起こる変形は大きく2種類あり、力を取り除いたときに形が元に戻る「弾性変形」と、力を取り除いても形が元に戻らない「塑性変形」があります。
ばねの場合、ばねに長い間荷重がかかり、弾性変形を経て塑性変形に移行することでへたりが発生します。
また、ばねの設計応力が高かったり、使用される環境の温度が高いほどへたりは大きくなります。高温下で使用するばねを設計する場合、温度に応じて応力を小さく設計する必要があります。

 ばねのへたりとひずみについて

ばねは本来ひずみを繰り返し与えられたり、長時間ひずみを与えたままにすると、実際に加えられたひずみより大きいひずみが加えられた時と同じ作用が働き、荷重を取り除いても塑性ひずみという元に戻らないひずみが生じます。へたりというのは元に戻らない「塑性ひずみ」の一種です。

ばねのへたりを低減するためには

ばねのへたりを低減する対策は大きく分けて4つになります。ポイントもふまえて紹介します。

①ばねの機械的性質の改善
ピアノ線、硬鋼線、ステンレス鋼線といったばねの材料そのものに加工ひずみがあります。材料は生まれつきひずみを持っています。200℃〜300℃の低温焼きなましを行うことにより、塑性ひずみが生じにくくなり、ばね自体の強度が向上します。

②残留応力の除去
加工後のばねには有害な残留応力が残っているので、ショットピーニングや低温焼きなましでできるだけ取り除くことでへたりが低減します。

③セッチングを施す
セッチングは押しばねによく応用されるばねの耐力を上げる技術の一つです。ばねを使用する前に、実際の使用条件より大きな荷重をかけてばね使用中に発生するへたりを除去します。

④高強度材を使用する
ばねに使用する材料を、より強度の高い材料へ変更することでへたりを抑えることができます。

材料やばねの種類によって対策方法は異なるので、へたりの原因をよく理解した上でどれが最適か選びましょう。

栄光技研株式会社では、主にばねのへたり対策として低温焼きなましを行っています。新規のばね設計はもちろん、既存のばねのへたりや変形でお困りの方はお気軽にお問合せフォームからお問合せください。

(参考文献:ばね 入門 日本ばね学会 日刊工業新聞社
            ばね 基礎のきそ 蒲久男 日刊工業新聞社

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