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もっと知りたい 技術コラム

ステンレス材の耐食性・耐薬品性を押さえたばね選定のポイントを解説

オイルテンパー線を使ったばね加工上の注意点やメリットをわかりやすく紹介します。

医療機器や機械部品などは「錆びない」「薬品に耐える」部品が必須です。適切でない材質を選ぶと、故障や品質低下、コスト増につながることもあります。今回は、ステンレス材の種類ごとの耐食性・耐薬品性を整理し、選定のポイントを解説します。

実際にステンレス材を使ってトーションバネを製造する様子を、こちらの動画でご覧いただけます。

ステンレス材の種類と特徴

以下に代表的なステンレス材の特徴をまとめています。

◦SUS304
最も一般的に使われるステンレスです。汎用性が高く幅広い用途に使用されます。ただし強酸や強アルカリには弱いため、使用環境の確認は必須です。

◦SUS316 / 316L
モリブデンを含み、SUS304より耐食性が高い材質です。塩素系・海水・酸性液体に対しても強く、医療機器や食品装置部品にも多く採用されています。

◦SUS430(フェライト系)
耐薬品性は限定的ですが、コスト面で有利です。使用できる環境に制約があるため、条件をよく見極める必要があります。

より特殊な材質(リン青銅)の活用例を知りたい方は、こちらも参考になります。

耐食性・耐薬品性を考慮した選び方のポイント

材料を選ぶときに特に気をつけたいポイントを整理します。

1、使用環境を確認
酸性・アルカリ性・塩素系などの液体だけでなく、大気環境(湿気・温度・塩分を含む環境)も確認しましょう。

2、使用条件を加味する
液体との接触時間、温度変化、乾湿の繰り返しなどは腐食進行に大きく影響します。

3、表面処理で補強する
研磨・メッキ・不動態化処理などで耐食性を強化できます。使用環境によっては必須となる場合もあります。

4、メンテナンス性を考慮する
部品表面に汚れや薬品残渣が残ると腐食が進みやすいため、清掃のしやすさやメンテナンス頻度も材質選定の基準に入れましょう。

表面処理や耐久性強化の方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。

現場でつまずきやすいポイントと対策

現場でつまずきやすいポイントと対策をまとめました。ぜひ参考にしてみてください。

▪まずは小さく試してみる
図面上では問題なくても、実際に使ってみると「思ったより錆びやすい」「清掃が大変」なんてことがあります。いきなり量産に入らず、試作段階で確認すると安心です。

▪材質同士の相性に気をつける
複数の部品を組み合わせるとき、異なる材質同士が接触すると「想定外の腐食」が起きることがあります。特に金属の組み合わせは要注意です。

▪メンテナンスのしやすさも大事
いくら耐食性の高い材質でも、清掃がしにくい形状だと薬品や汚れが残って腐食が進みます。現場での洗浄や点検のしやすさも、材質選びと同じくらい大切な視点です。

他のステンレス材の特徴や選定の考え方も合わせて確認しておくと安心です。

「どの材質を選ぶべきか迷う」「使用環境に合うか判断できない」場合は、ぜひ栄光技研株式会社までお気軽にご相談ください。現場で培ったノウハウを元に、最適な材質をご提案します。

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