トーションバネ(ねじりばね)は、限られたスペースでも動きを制御できるばねとして、医療機器や産業用機器などさまざまな分野で使用されています。特に医療機器のように繰り返し使用される装置では、耐久性や精密さが求められるため、応力を抑えた設計や適切な材質の選定が重要になります。今回は、実際に栄光技研で対応した医療機器向けのトーションバネ事例をもとに、設計時の注意点や製造対応力についてご紹介します。
トーションばねの役割
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トーションバネは、ねじる力(トルク)に反発して戻ろうとする力を利用するばねです。コイルの両端に腕(アーム)があり、これをねじることで反力が生まれ、装置の動きを制御することができます。
用途は幅広く、以下のような場面で使われています。・医療機器の開閉機構
・自動車のドア・トランク
・家電(CD/DVDトレーなど)
・工場設備の安全カバーなど -
モーターよりも省スペース・低コストで制御できるため、幅広い設計に取り入れられています。
医療機器に使用されるトーションバネの設計ポイント
医療機器のように繰り返し使用される装置では、トーションバネに求められるのは長寿命と安定性です。
その中でも特に重要なのが、応力(ねじりによって発生する内部の力)の管理です。
- ばねの線径を細くする
- 有効巻数を増やす
- コイル径を大きくする
ただし、医療機器は設置スペースに制約があることが多いため、設計条件は設計者とのすり合わせが不可欠です。
(参考文献:ばね 入門 日本ばね学会 日刊工業新聞社
はじめてのコイルばね設計 山田学 日刊工業新聞社
ばね 基礎のきそ 蒲久男 日刊工業新聞社)
形状・製造時のポイント
トーションバネは、用途に応じて巻き方にも違いがあります。
●密着巻き:コイル同士が密着。ばらつきが少なく加工が安定。
●ピッチ巻き:コイルの間に隙間を設ける。摩擦が少ないが加工難度は高め。
また、アームの形状(ストレート、フック、折り返し)や角度、コイルの巻き方向(右巻き/左巻き)も、動作や取り付けに応じて設計する必要があります。
(参考URL:ねじりコイルばねの特徴と種類)
トーションばね設計時に考慮すべき2つの視点
トーションばねを設計する上で2つのポイントを考慮することで、設計がしやすくなります。
1.使用状態・環境を明確にする
どのくらいの範囲で動くのか、使用頻度はどれくらいか、使用温度や湿度などの条件によって、適切な材質やばね定数(トルク)も変わります。
2.応力に余裕を持たせる
設計上の応力と、実際にばねにかかる応力との間には差が出ることがあります。折損を防ぐためにも、安全率を考慮した余裕のある設計が必要です。
大阪府門真市にある栄光技研株式会社では、トーションバネの設計から試作・量産まで一貫して対応しており、形状のカスタマイズにも柔軟に対応可能です。
使用環境や装置の構造に応じて、材質選定を考慮した最適なばね設計をご提案いたします。図面が無い場合でも対応可能ですので、ばねについてお困りの際は、ぜひお気軽にお問い合わせフォームまたはお電話でご相談ください。
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