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銅線の一種であるエナメル線の特徴や種類、ばねを製造する際の注意点について説明します。

銅線の一種であるエナメル線の特徴や種類、バネ加工する上での注意点について解説します。

エナメル線とは銅線をエナメルの皮膜で覆った電線です。絶縁、耐熱性に優れ、主に産業用や家電用のモータ、自動車電装用コイルなど幅広い用途に使われています。今回はエナメル線の特徴や種類、エナメル線でのばね製造をする際の注意点について説明します。

実際にエナメル線(UEW)を加工している様子です。

エナメル線の特徴

エナメル線には以下のような代表的な特徴があります。

1. 絶縁性に優れている
導電性の高い銅線に絶縁性の樹脂塗料を焼き付けて皮膜を形成しているため、電気を通しにくい構造になっています。皮膜絶縁により、電気回路などでの安全性が確保されます。

2. はんだ付けが可能な種類もある
エナメル線の被膜を部分的に除去することで、電子基板などへのはんだ付けが可能になります。はんだ付けの可否はエナメル皮膜の種類によって異なります。加工前に確認が必要です。


3. コストが高め
一般的なばね材料と比較すると、エナメル線は材料コストが高くなります。特に耐熱性能が高い種類ほど、価格は上昇する傾向があります。

エナメル線の代表的な種類

エナメル線の代表的な種類は大きく分けて3種類あります。

1. ポリウレタン銅線(UEW)
特徴:被膜の除去なしで直接はんだ付けが可能。
用途:小型モーター、トランスなど。
※最も多く使用されているエナメル線です。

2. ポリエステル銅線(PEW)
特徴:耐熱性・耐溶剤性に優れています。
用途:汎用モーター、ソレノイドコイルなど。
ソレノイドに関する詳細は関連記事をご参照ください。

3.ポリアミドイミド銅線(AIW)
特徴:非常に高い耐熱性を持ち、皮膜をはんだで除去できません。
用途:高温環境下で使用されるモーターや自動車用電装部品。

エナメル線でばねを製造するときの注意点

エナメル線は、ステンレス線やピアノ線などの一般的なばね材料とは性質が異なり、以下のような点に留意する必要があります。
1. 加工機との相性
エナメル線は非常に柔らかく、線径が細いと手でも容易に曲がるほどです。ばねの形状や線の太さに応じて、適切な加工機や治具の選定が重要です。線材がしっかりと保持できないと、成形ミスや不良の原因になります。
2. 形状の保持性
エナメル線製のばねは、衝撃や振動に弱く、形状が崩れやすい傾向があります。梱包・輸送時には、緩衝材の使用や固定方法の工夫など、製品の形状を保持できる適切な対策が必要です。

栄光技研株式会社では、φ0.5mm~φ2.0mmのエナメル線を使用したばね加工に対応しております。加工でお困りの際や、エナメル線の種類に関するご相談がありましたら、どうぞお気軽にお問い合わせフォームまたはお電話にてご連絡ください。
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