車椅子を安全に使用するために欠かせないのがブレーキです。今回は車椅子のブレーキに使われているねじりコイルばねの仕組みや設計ポイントについて説明します。
実際にねじりコイルばねを製造している動画です。
車椅子のブレーキについて
車椅子のブレーキには、手押しハンドル部分で制御する「介助ブレーキ」と、タイヤ部分のレバーで操作する「駐車ブレーキ」の2つがあります。駐車ブレーキにはねじりコイルばねが使用されています。メーカーによっては引張コイルばねが使用されている車いすもあります。
車椅子の駐車ブレーキに使われているねじりコイルばねの仕組み
駐車ブレーキは車椅子を停止させたり制動したりするブレーキで、タイヤを押さえつけ、ブレーキをかけます。車椅子のサイドのレバーを引くとねじりコイルばねに力が加わり、ブレーキがタイヤに押し付けられることで止まります。レバーを戻すとねじりコイルばねは元に戻り、ブレーキが解除されます。車椅子の種類によってレバーの操作が異なるものもあります。
参考URL:駐車ブレーキの調整方法
ねじりコイルばねの設計ポイント
車椅子のブレーキに使用されるねじりコイルばねの設計ポイントは、線径・材質・腕の形状の3つです。
1.線径
車椅子のブレーキに使用されるねじりコイルばねの線径は1.0mm〜3.0mmです。線径はばねの強度にも関わります。ばねの線径が細いと強度は弱くなります。つまりタイヤを押さえつける力が弱くなりブレーキがきかなくなります。一方で強度が強すぎると、ブレーキをかけるために強い力が必要になります。
2.材質
車椅子のブレーキ部分に使用するねじりコイルばねは見える位置に組み付けています。見栄えもよく、長年使用できる強度のある材料はステンレス線になります。ただし強度の観点からステンレス線よりピアノ線の方が強いので、ピアノ線を採用することもあります。その場合、見栄えの良い鍍金処理が追加されます。
3.腕の形状
車椅子のブレーキ部分に使用するねじりコイルばねは、腕の形状も重要なポイントです。ねじりコイルばねの腕の形状はフック形状が多いです。理由は部品同士を取り付けやすくするためです。ねじりコイルばねの腕の形状の詳細はこちらをご覧ください。
ばねの角度や長さが少し変わるだけで引っ掛かりが悪いと、ブレーキが効かなくなることがあります。ねじりコイルばねは荷重や腕の形状・長さが調整しやすいため、設計の自由度が高い部品の1つです。
栄光技研株式会社では、線径1.5㎜~3.0㎜のねじりコイルばねをばね製造機械の「MX-20・RX-20」また「MX-40・RX-40」にて製作いたします。当社では試作1個からばねが製作可能です。ぜひお気軽にお問い合わせフォームでご相談ください。